巨匠 ジュリアン・ロバートソン「タイガー・マネジメントの興亡」

巨匠 ジュリアン・ロバートソン「タイガー・マネジメントの興亡」

史上最高峰のヘッジファンドの一つTiger Managementジュリアン・ロバートソンの考え方のまとめです

2021/5/29

East Venturesの村上です。
やっと読めたTiger Management率いたジュリアン・ロバートソンの伝記のメモ。 スタートアップを追っていてもよく目にする、ITグロースに投資をするTiger Global / チェイス・コールマンなど多くのヘッジファンドマネージャーを輩出したTiger Management総帥「ジュリアン・ロバートソン」の半生についての本です。

ロバートソンが1980年にはじめた800 万ドルのファンドは、1990 年代半ばには 230 億ドル以上に成長、しかしテクノロジーバブルの際にパフォーマンスが悪化しファンドを閉鎖しました。

とはいえ偉大であったことに疑いようはなく、この1枚のグラフを見ればその驚異的なパフォーマンスがわかると思います。


歴史も面白いですが、今回はジュリアン・ロバートソンがどういう人物であったかに主にフォーカスしてまとめました。

ジュリアン・ロバートソンとTiger Managementの成功の鍵は「競争心」「調査を信じること」「数字に強いこと」「自分一人では何もできないのだという信念」「ユーモアのセンス」あたりがキーワードとして出てくるみたいです。

投資の考え

大前提としてジュリアン・ロバートソンはバリュー投資家です。割安なものを探して投資をする手法で、それに非常に長けていました。
ストーリーで投資をする
同社のあらゆる投資の背後で鍵を握っているのはストーリーである。もしストーリーの筋が通っていれば、投資も筋が通っているはずだ。筋が通らなければ、あるいは簡単に理解できないようであれば、ポートフォリオには組み込めない。ストーリーが変われば、投資も変更しなければならない。(略) ロバートソンのモットーとしては、投資に関係するストーリーが不変である限り、ポジションはどんどん大きくしなければならない。ストーリーが変化した時は逃げ出す時だ。
ポジションに確信を持てるかどうか
ロバートソンが教えてくれたことの一つは、投資決定を下す時には確信も持っていなければならないということだ。簡単に言えば、喜び勇んで飛びかからなければならないということだ。何かを信じたら、価格はもはや問題ではない。それはポートフォリオの一部に組み込むべきある。もし信じていないのであれば、あるいはポジションに確信が持てないのであれば、それは忘れ去る必要がある。
市場は存在しないという捉え方
彼はいわゆる市場なるものは存在しないと考える。さまざまな場所で取引されている会社の集合があるだけだ。市場というものに投資して本当に儲けることができる人はだれもいない、と彼は考えるようになる。儲ける唯一の方法は割安株を購入して値上がりを待つだけだ、と信じるようになったのである。いい買い物を探すのが一番楽しいことになる。彼はそのようなチャンスの探求について、成功しようと懸命になったのである。
信じたものには大きくリスクを取る
レバレッジの利用が同社の成功に長らく大きな貢献をしているが、ロバートソンのリスクを理解する能力こそ、そんなに莫大な利益を計上できた主因である。彼はアナリストの提案に基づく投資決定を承認しておいて、アナリストの裏に回ってポジションを二倍、三倍にすることも異例ではなかったという。(略) 「私にわかるのは、彼が往々にして私の提案をオーバーしていたことだ。そして、ほとんどの場合、彼は的中したのである」
ロバートソンは確信を得ると、アナリストが承認しないような規模のリスクをとったということであるが、その確信を得るためには、彼自身やタイガーが専門知識を持ち合わせていない分野に関するアドバイスを求めて、自分の側近グループ以外の人々にアプローチした。彼はポジションを検討するためには部下の強みや判断を頼りにはしたものの、それを疑問視することも多かったのである。
規律に惑わされない
ロバートソンの成功は彼が大胆にも積極的に箱の外側のことを考えて、表面的なことは鵜呑みにしない点に由来すると言われていた。投資となると、ほとんどの人は規律にしたがう。(略)ロバートソンの手腕は株式市場はそういうものではないということがわかっていて、このような他人の誤解を自分に有利に逆手にとれるところにある。
アイディアに関する自分の調査が信用できる限り、彼は市場がどう反応しているかは気にしないのである。他の連中は調査もしておらず、チャンスが理解できないのだと彼は考える。この好例は銅の市況が上昇して、他のだれもが損切りに走っている際に、空売りポジションを堅持したことだ。彼はストーリーがわかっていた。計算をして自分が正しいということがわかっていたのである。
ちなみにこの銅ポジションは結果的に、3億ドルの利益に化け設立以来1日であげた利益としては最大。

情報収集・リサーチについて

ロバートソンは企業の詳しさにおいて随一であり、情報収集・リサーチに関してはかなり自信を持っていて、部下にもそれは浸透しタイガーカブズの特徴の一つのようです。
タイガーを率いていた際、ロバートソンは凡人ならめまいがするほど多くの企業のことを詳しく知っていた。アメリカ、ヨーロッパ、あるいはアジアの企業に関する情報を記憶していられる能力には信じがたいものがあったといわれている。(略) ロバートソンは市場について非常に詳しく、他の人々が気づかないところでバリュー物を模索するのが好きだった。だれでも「ビジネスウィーク」を読めば、ウォルマートをロングにして、競合他社をショートにすることができる。それはタイガーにとっては明らかにつまらない投資だろう。ロバートソンは意外な投資、ダイヤモンドの原石を探求するのである。そのために、彼はどこであろうと情報を渉猟する。
徹底した調査
全キャリアを通じて、彼にとっては投資状況の慎重で包括的な分析に取って代わるものはなかった。それはすべてが調査次第だということである。厳格な財務分析は当然として、事業と将来展望に関して本当の手がかりを得るためには、経営陣とのインタビューや、重要な顧客、サプライヤー、競合他社との議論が必要だ。
情報収集のためにネットワークを築き、常に誰かと電話をしていた
ロバートソンがタイガー・マネジメントを設立した時には、彼のネットワークはすでに非常に広大になっており、電話をかけるだけで話したいと思うだれとでも連絡をとることができた。その相手が潜在的な投資対象に関係する人であろうと、あるいは顧客である投資家であろうと、彼は自分のコネを誇りとしていた。タイガーの将来に向けた基盤を築くことができたのは、このようなスキルとネットワークを常にさらに精緻化し、拡張したおかげである。
情報収集のために彼が電話をどれくらい使うかは伝説的である。(略)彼はタイガーのオフィスでは、電話をするか、グラフを見るか、あるいは情報を再検討するかで、ほとんどの時間を使い果たしていた。いつもネットワークを発展させていたが、それはもし貴重な情報が入手できた時に、それに対処するのに最適な人への迅速なアプローチを確保しておくためなのである。
妥協せず高い水準で情報を集める
アナリストはある韓国の自動車メーカーの空売りを提案した。調査の結果、同社はエンジンに問題があり、特にある特定の車種はひどくて、会社の破綻につながりかねないという事実を発見したのである。そこでアナリストはその株の空売りを提案したわけであるが、ロバートソンはどうやってそういう結論に至ったのかと問いただした。アナリストは調査によって問題を発見したので、それを利用したいと答えた。ロバートソンは情報が間接的なので、彼のアイディアには必ずしも満足できないと応じる。そこで二人ともその車を買って、それぞれ別個にエンジンをテストすることにする。問題が正しく明らかになったので、その会社の株を空売りした。
「それくらいバーが高いということだ」とテイラーは言う。「現在でもタイガーカブズの多くはこの水準で仕事をしている。本当に素晴らしいことだ。」
金曜日昼食時の5分
タイガーではアナリストが集まってロバートソンにアイディアを提案する金曜日昼食時の会議があるのですが、非常に大変だったそう。
金曜日の昼食は手ぶらで参加すればいいとか、あるいは単に時間が長いとかという場ではない。ロバートソンは話が早くて効率的な方が好きだ。「要点を言え、さもなければ忘れろ」と元アナリストが評している具合なのである。時間制限はわずか5分かそこらで、要点を述べて、次に進む。それが会議のやり方であったが、それがうまく機能したのである。もし複雑すぎれば、ロバートソンはそのアイディアを決して採用しない。アナリストは自分の投資提案を四行で要約することが期待されている。その四行には六ヶ月分の仕事が詰め込まれているのかもしれないが、ロバートソンの前で提案し、情報を提供するためにはそれだけの時間しか与えられていない。

タイガーカブズ、人材育成

またTigerが特筆すべきなのは輩出した人材の量と質であり、やはりそれもロバートソンの能力が生み出したと言われてます。
ロバートソンの本当の強みと才能は、ヘッジファンド業界で偉大なことを成し遂げているような人を見出すことができる能力にこそある。(略) ロバートソンはだれもが一生懸命働きたくなる場所、つまり自分を喜ばすことに努めたくなるような雰囲気を作り出した。彼が喜ばなければ、すなわち彼がいらいらして癇癪を爆発させたりすれば、悪い雰囲気になってしまうということがみんなにはわかっていた。(略)彼はそれまで経験したことがないくらい人を働かせ、これ以上やれるとは思っていなかったほどさらに働かせる。
ロバートソンが好んだ人物
ロバートソンはビジネススクールを卒業したばかりの者や、他の会社から転職してきた単に優秀な人を抜擢するような人ではなく、自分のために働いている全員のなかから優秀な人を見出すことができる人だったという。彼は優秀な人を発見して、自分のために働いてもらう、しかも一生懸命働いてもらうようにすることにかけては、不思議な能力に長けていたのである。
「彼が採用した人々は生まれながらのヘッジファンド・マネジャーではなかった」とある元タイガー社員は語る。「しかし、彼は非常に厳しく、常に可能な限り最も優秀であることを強制したのである。何が重要であり、どうやってそれを発見、処理し、そしてそれに基づいて決断を下すべきなのかについて、彼はわれわれに理解させたのである」。
タイガーカブズとの関係
タイガーカブズは、タイガー・マネジメントがファンドを閉鎖した際に、事務所を閉鎖することができなくてインフラを撤去できなかったため、その施設をそのままヘッジファンド用のホテルに転用したところから始まっており、タイガーカブズはそこに入居しています。
ロバートソンはバックオフィス業務や資産運用にかかわる雑多なサービスを提供するという形で、これらマネジャーを支援している。彼らの会社の発展を一緒に考えたりもしている。このような「カブズ」はタイガー・マネジメントの第二世代であり、ロバートソンが世界中の市場でバリュー物を見つける時に利用する装置になっている。
つまりロバートソンは結構合理的な理由によって、元タイガーを支援しているということです。
「ロバートソンは施設や設備が不要であること、そしてさらに重要なのは、それを維持することに伴うコストに気がついた」とある元タイガーは語っている。「(略)自分のニーズを満たすためにインフラを維持しつつ、設備を必要とし、コストの一部を分担してもらえる人を探すことにしたのである。」 「そういう人々に入居してもらうことによって、彼はコストの一部を負担してもらえるだけでなく、大勢のアナリストを雇用せずとも膨大なアイディアの発想を手にすることができたのである。」
そんなバックアップを受けるタイガーカブズの1人によると
タイガーないしロバートソンとの関係があるおかげで、ファンドの拡大が速く、情報の入手が容易になり、会社経営にまつわる多くの頭痛がなくなった。「自分たちだけで新規開業したマネジャーは会計問題やその他のさまざまなことを心配しなければならないが、われわれにはその心配がない」と語る。「言わばただ引っ越してきたら、すべてがうまく回ったのだ」。
タイガーに投資をしていた人の談
カブズの組織には共通項があると言う。すべてのカブズはオペレーションやマーケティングを担当するインフラがあることの重要性を認識し、アナリストには分析とアイディアの発見に専念させ、そして、買い持ちよりも売り持ちの検討により長い時間を費やしているようにみえる。

ロバートソンの厳しさ、見て学ぶ環境
カブズの役に立っているとみんなが信じていることの一つに、投資決定を下す際にロバートソンが要求した厳格さがある。タイガーで働いていた人々に対する彼の癇癪や厳しさに関しては、さまざまな話が流布している。その時は苦しかったかもしれないが、結局、おそらく被害よりも利益の方が大きかったといえよう。この業界はタフでなければならない。軟弱ではつとまらない。タイガーというものは牙と爪を使わなければならないのである。競争的なビジネスであり、好人物であるだけでは成功できない。
ロバートソンはタイガー・マネジメントが発展していく過程で、優秀な者ならおのずとトップになれるという成功の基盤を築いたということなのである。彼がマニュアル本を手渡したということではない。彼らにただ観察させただけであり、彼らは観察しながら学び、学びながらどんどん良くなって、独立したくなる水準にまで到達したということなのである。大勢の証言によれば、タイガーにおける成功の鍵はロバートソンとポートフォリオがどうなっているかに注意を払う能力にあった。易しく言い換えると、注意さえしていれば、どうやって情報を処理して活用したらいいかだけでなく、どうやって事業を築いていくべきかが学べたのである。
ロバートソンは市場に関して、自分のボトムアップ型の銘柄選択手法をカブズに教えた。彼は空売りの必要性と、特定の産業についてあらゆるレベルの情報を入手することの必要性を強調した。カブズの多くは現在でもほぼその通りにやっている。「彼はどうやって情報を探すかというとことと、自分の調査能力のすべてを使い果たした後に初めて投資に関する決定を行うべきであるということを教えてくれた」とある元タイガーは述べている。「ある投資提案についてなされる調査の質は驚くほど深みがある。タイガーの連中ほど掘り下げる人はほとんどいないだろう。」

ロバートソンの特徴・性格

自分自身や他人を信頼することができるというロバートソンの超人的な能力は、彼が他のヘッジファンド・マネジャーと一線を画する特徴であったし、それは今でも変わらない。彼は自分の長所短所を認識しており、それをどうやって補うべきかもわかっている。他のだれもが見逃している何かに執着できる能力があり、極めて重要な決定をほとんど瞬時に下せる能力も備わっている。ほとんどの人にはこの性格が欠けている。
銅の空売りは象徴的な話。

負けず嫌いなロバートソン
ジュリアン・ロバートソンと他のヘッジファンドの成功者とは何が違うのかと聞いて回ると、負けず嫌いと仕事を本当に楽しむことができる能力という答えがいつでも返ってくるように思われる。(略) おかわりのように、勝つことがロバートソンにとってはすべてなのである。ロバートソンが重視するのは点数だけだ。
ロバートソンは幼少期から父に株式投資の手ほどきを受けていた
ロバートソンは株式欄の読み方を父親に教えてもらい、自宅でくつろいでいる時には、かなりの時間をどの会社がいいか検討することで一緒に過ごした。調査と物事がどういう仕組みになっているかを理解することの大切さは、父から学んだのである。

タイガー人とは

93年に心理療法士が入社し、採用前に全志願者が受けなければならない試験制度を開発して実施し、これによってその人物がタイガーに向いているかを判断できるようになりました。その特徴は
①機能的な知性を持っていて、明敏、聡明、敏捷 ②しっかりした倫理観を持っている ③スポーツの経験や肉体的健康に関心がある ④慈善や福祉に関心がある ⑤ユーモアのセンスがあり、一緒にいて楽しい ⑥履歴書が立派
ロバートソンは自分が採用した人たちは「非常に聡明で、競争心が高く、極めて倫理的である」と述べている。彼が人に求めるのは利口であることに加えて、負けず嫌いでスポーツ好きなことだ。換言すれば、勝つことが好きな人がいいと語っている。(略)ロバートソンは頭でっかちなタイプは採用しないようにした。教室内外の両面において優秀でバランスのとれた人材を求めたのである。

タイガー崩壊要因

偉大なTiger Managementですが、2000年になるとパフォーマンスが悪化したことで、投資家はファンドから1/3の資産を引き揚げ、継続不可能と判断しファンドを閉鎖しました。
様々な理由があるみたいですが、
・テクノロジー株の狂気
・手に負えない受託資産の規模
・組織の変質
この3つが主要な要因のよう。

テクノロジー株の狂気

ロバートソンのファンドは1999年19%を超える下げという成績に終わり、バリュー投資を採用し続けるロバートソンは、業績関係なく株価が高騰していくテクノロジー株が席巻した市場の変化に対応できませんでした。

タイガーの成功はスタッフが抱いていた「最良の株を買って最悪の株を売るという固い決意」によるものだ、とロバートソンは信じている。しかし、今や市場が「非合理的」なため、このようなスキルはもううまく働かないようだ。「合理的な環境下であれば、われわれの戦略はうまく機能する」とも述べている。「しかし、非合理的な市場では企業収益や価格評価はマウスのクリックやモメンタムの後塵を拝することになる。そういう論理がさほど重要でないことをわれわれは学んだのである」
ロバートソンはバリュー哲学を信じていたのに、投資家が希望を捨ててしまったことが問題である。その戦略でそのうち儲かることはわかっていても、いつそうなるかはわからなかったため、取引が次から次へと失敗するのに伴って、投資家はいよいよ辛抱できなくなってくる。その結果として、彼はポートフォリオを清算して、資本を投資家に返還することにした、と述べたのである。

ちなみにロバートソンが営業停止を決意してから数週間後にテクノロジーの市場は崩壊し、ロバートソンの理論と信念は誤りではなかったことが証明されました。


手に負えない受託資産の規模

規模が大きくなりすぎた結果、流動性のあるポジションを作れる銘柄が限りなく少なくなってしまったということみたいです。
何が狂ったのかを振り返って、ロバートソンは要するに会社が大きくなりすぎた、と述懐した。(略)会社の能力は受託資産の増加に見合って高まっていくものだと彼は常々考えていたが、そのうちに、その考えは「理論的には健全でも、実際には不可能である」ことに気づくのである。タイガーが大きくなるのに伴って、ポートフォリオに影響を与えるためには、ますます大量の株式を購入しなければならなくなるだろう。
様々な要因のなかでも、とりわけ流動性、規模、および資金の引き出しのすべてが、タイガーの崩壊に一役買ったと言えよう。
「資産の増加に見合う人材の増加があれば、どんなに大きくなってもかまわない、というふうに私はいつも感じていた。私はそれを見過ごしていたのだが、立食用のテーブルが小さくなって、選り好みの余地がなくなっていたのが問題だったのである。というのは、意味があるためには、ある銘柄を大量に購入しなければならなかったが、そうすることが可能で、しかも流動性のあるという銘柄は数が限られていたのである。」

組織の変質

多くの元タイガー社員や大勢の投資家によれば、彼らにとって本当の問題は根拠なき熱狂のなかでロバートソンらが投資チャンスを発掘できなかったとか、投資家の資産償還要求が原因でファンドのキャッシュが逼迫したとかいうことではなく、むしろ会社の組織自体が変質していたということにある。そして、それと会社のリーダーが草創期と同じように情熱を本当に持った有能な人を採用することに失敗したことが相まって、崩壊に至ったのである。
タイガーがますます大きくなり、より大きな資産のプールを追求するようになるにしたがって、同社は共通の目標があって、仲間内のように打ち解けた雰囲気があり、仕事をしたり資産運用するには極めて真剣な場所であるところから、官僚的な問題や悪夢、それにスタッフ同士の内紛をたくさん抱えた、より会社らしい環境に変質したのである。(略) あるアナリストによれば、彼が入社した頃の同僚と言えば、大学を卒業したてか、あるいはウォール街のどこか他の一社で働いたことがあるといった人々で、全員が極めてハングリーで、しかも非常に集中力があった。
投資経験の持っていないおそれのある若くて攻撃的な人を採用する代わりに、彼(ロバートソン)はもっと年齢の高い経験者だけを採用し始めたのである。その頃に会社は内側から成長することを停止して、ウォール街界隈から有能な経験者を採用することによる成長を開始する。(略)しかし、そういう人々が必ずしも事業に対して大きな貢献ができるというわけではなかった、ということが問題である。


海外スタートアップDB

匿名で質問やリクエストを送る

※登録・ログインなしで利用できます

記事をサポートする

記事をサポートする

感謝・応援の気持ちのチップを送ることができます。 yu8muraka3の継続運営を支えましょう。

※登録・ログインなしで利用できます

メールアドレスだけでかんたん登録

  • 新着記事を受け取り見逃さない
  • 記事内容をそのままメールで読める
  • メール登録すると会員向け記事の閲覧も可能
あなたも Medy でニュースレターを投稿してみませんか?あなたも Medy でニュースレターを投稿してみませんか?